社労士の鶴木がWebマガジン『くらしごと』でインタビューされました

社員との信頼関係を築く労務管理とは?(4/5)

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【第4回】トラブル発生時こそ信頼が試される―冷静な対応と誠実な姿勢

これまで、信頼を生む労務管理の仕組みについてお伝えしてきました。しかし、どれだけ予防に力を入れても、トラブルはゼロにはできません。今回は、トラブルが起きたときにどう対応すれば信頼を守れるのかについてお話しします。

トラブルは「信頼を試す場面」である

私がこれまで企業支援をしてきた中で痛感しているのは、トラブルが起きたときこそ、信頼関係が試されるということです。

社員が突然辞めると言い出した。遅刻や欠勤が続いている。業務上のミスが重なり、他の社員に迷惑がかかっている。こうした場面で、経営者がどう対応するかが、その後の信頼関係を決定づけます。

感情的に叱責したり、一方的に責めたりすれば、信頼は崩れます。逆に、冷静に事実を確認し、誠実に対話をすれば、トラブルを乗り越えた先に、より強い信頼が生まれることもあるのです。

対応の基本①:事実を冷静に確認する

トラブルが起きたとき、最初にすべきことは事実の確認です。感情や憶測ではなく、「何が起きたのか」「いつ、どこで、誰が関わっているのか」を冷静に整理します。

たとえば、ある社員が遅刻を繰り返しているとします。このとき、「あいつはやる気がない」と決めつけるのではなく、「何回遅刻しているのか」「本人に何か事情があるのか」をまず確認することが大切です。

私は、感情と法の両方を踏まえ、納得感ある着地を導くことを大切にしています。感情に流されず、事実を整理する。それが、信頼を守る第一歩です。

対応の基本②:対話を通じて背景を理解する

事実を確認したら、次は対話です。なぜそうなったのか、本人の事情や背景を聞く。このとき大切なのは、「責めるため」ではなく、「理解するため」に聞くことです。

たとえば、遅刻が続いている社員に話を聞いたところ、実は家族の介護で朝の時間が取れなくなっていた、ということもあります。あるいは、業務の進め方に悩んでいて、相談できずに抱え込んでいた、というケースもあります。

問題の背景を理解することで、適切な解決策が見えてきます。介護の事情があるなら、始業時間を調整できないか検討する。業務の悩みがあるなら、サポート体制を整える。こうした柔軟な対応が、信頼を深めます。

対応の基本③:法令に基づいた公平な判断をする

対話を重ねても、どうしても改善が見られない場合や、ルール違反が明確な場合は、法令に基づいた公平な判断が必要です。

私が大切にしているのは、経営者にも言うべきことは誠実に伝えるべきであるという姿勢です。社員に対しても同じです。「これはルール違反です」「このままでは雇用を続けることが難しい」と、事実と法令に基づいて伝える。

このとき、感情的にならず、冷静に、しかし明確に伝えることが重要です。曖昧な言い方をすると、「まだ大丈夫なんだ」と誤解されることもあります。言うべきことは、誠実に、はっきりと伝える。それが、信頼関係を保つための誠意です。

対応の基本④:プロセスの透明性を保つ

トラブル対応において、もう一つ重要なのがプロセスの透明性です。「なぜこの判断に至ったのか」「どのような手順を踏んだのか」を、関係者に説明できるようにしておくことが大切です。

たとえば、ある社員を解雇する場合、「いきなりクビ」ではなく、「注意→改善指導→最終警告→解雇」というプロセスを踏み、そのたびに記録を残しておく。こうすることで、「公平に扱われた」という納得感が生まれます。

また、他の社員に対しても、「この会社はきちんと手続きを踏んで対応する」という安心感を与えることができます。

トラブルを「学び」に変える

トラブルは、決して歓迎すべきものではありません。しかし、トラブルを通じて、組織は成長することができます。

「なぜこのトラブルが起きたのか」「今後どう予防するか」を考え、仕組みを改善する。そして、社員とともに「より良い職場にしていこう」という対話を重ねる。それが、信頼関係をさらに深める機会になるのです。

次回は最終回として、信頼関係を築く労務管理が、経営にどのような成果をもたらすのかをお伝えします。

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この記事を書いた人

鶴木貞男のアバター 鶴木貞男 特定社会保険労務士・行政書士
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