社労士の鶴木がWebマガジン『くらしごと』でインタビューされました

社員との信頼関係を築く労務管理とは?(2/5)

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【第2回】信頼を損なう労務管理の「落とし穴」―北海道の中小企業でよくある3つのミス

前回は、労務管理の本質が「信頼関係の構築」にあるとお伝えしました。今回は、その逆―信頼を損なう労務管理の「落とし穴」について、北海道の中小企業でよく見られる事例をもとにお話しします。

落とし穴①:ルールが曖昧で、その場しのぎの対応になっている

小樽や後志地方の中小企業では、「就業規則はあるけれど、実際には使っていない」「社長の判断でその都度決めている」というケースが少なくありません。

たとえば、ある社員には有給休暇を気軽に取らせているのに、別の社員には「今は忙しいから」と断る。残業代の計算基準が曖昧で、社員ごとに違う扱いをしている。こうした「場当たり的な対応」は、社員に不公平感を与え、信頼を大きく損ないます。

私が企業支援をする中で、よく「うちは家族的だから、ルールにうるさくしたくない」という声を聞きます。お気持ちはよくわかります。しかし、ルールがないことは、実は社員にとって最も不安なことなのです。

「自分はどう扱われるのか」「何が許されて、何が許されないのか」がわからない状態では、社員は安心して働けません。信頼関係は、公平で明確なルールの上にこそ成り立ちます。

落とし穴②:問題を先送りにし、顕在化するまで放置する

「あの社員、最近様子がおかしいけれど、様子を見よう」「遅刻が増えているけれど、注意しづらいな」―こうした「問題の先送り」も、信頼を損なう大きな要因です。

私は、問題は顕在化したものだけでなく、潜在リスクまで捉えるべきだと考えています。小さな違和感を放置すると、やがて大きなトラブルに発展します。そして、その時には「なぜもっと早く言ってくれなかったのか」と、社員も経営者も互いに不信感を抱くことになります。

もちろん、問題を指摘することは勇気がいります。しかし、誠実に、冷静に、事実をもとに対話をすることは、信頼関係を壊すどころか、むしろ深めます。「この会社は私のことを見てくれている」「きちんと向き合ってくれる」と感じてもらえるからです。

落とし穴③:経営者の感情が先に立ち、冷静な判断ができない

経営者も人間です。社員に裏切られたと感じたり、思い通りに動いてくれないことにイライラしたりすることもあるでしょう。しかし、感情的な対応は、信頼関係を一瞬で破壊します。

「もう来なくていい!」と怒鳴ってしまった。「お前のせいで」と責め立てた。こうした言葉は、たとえ後で謝っても、深い傷として残ります。

私が大切にしているのは、感情と法の両方を踏まえ、納得感ある着地を導くことです。経営者の気持ちも、社員の事情も、どちらも尊重しながら、冷静に事実を整理し、法令に基づいた公平な判断をする。それが、信頼関係を保つ唯一の方法です。

信頼は「予防」と「対応」の両輪で守る

これらの落とし穴に共通しているのは、「予防の不足」と「対応の遅れ」です。私は、予防と発生時対応の両輪で労務は支えるべきだと考えています。

ルールを整え、日常的に対話し、小さな違和感を見逃さない。そして、問題が起きたときには、感情ではなく事実と法令に基づいて冷静に対応する。この両輪があってこそ、信頼関係は守られます。

次回は、具体的にどのような労務管理の仕組みが信頼を生むのか、実践的な方法をお伝えします。

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この記事を書いた人

鶴木貞男のアバター 鶴木貞男 特定社会保険労務士・行政書士
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