~「うちは大丈夫」と思っている会社ほど要注意?~
「うちは従業員も少ないし、みんな長く働いてくれているから、労務トラブルなんて起こらないよ」
中小企業や個人事業主の経営者の方とお話ししていると、このように考えている方もいらっしゃいます。
確かに、従業員同士の関係が良く、これまで大きな問題がなければ、労務トラブルを身近に感じることは少ないかもしれません。
しかし、労務トラブルは、ある日突然何もないところから発生するとは限りません。
日頃の小さな「認識のズレ」や「言った・言わない」、あるいは「まあ、このくらいなら大丈夫だろう」という問題の先送りが積み重なり、ある時、大きな問題として表面化することがあります。
私はこれまで、人事・労務の仕事に長く携わり、ハラスメントをはじめとするさまざまな労務トラブルへの対応を経験してきました。
その経験からも、労務トラブルを完全になくすことは難しいものの、日頃のちょっとした取組によって、トラブルが大きくなることを防げるケースは少なくないと感じています。
特に、小さな会社では経営者と従業員の距離が近いことが大きな強みです。
その一方で、距離が近いからこそ、「わざわざ書面にしなくても分かっているだろう」「いつも話しているから大丈夫」という感覚になりやすい面もあります。
では、労務トラブルが起こりやすい会社には、どのような特徴があるのでしょうか。
大きく分けると、私は次の3つがポイントになると考えています。
1つ目は、「労働条件や職場のルールが曖昧」であること。
2つ目は、「経営者と従業員のコミュニケーションが不足している」こと。
そして3つ目は、「小さな問題をそのままにしている」ことです。
例えば、入社するときに給与や休日について口頭でしか説明していない、仕事上の注意をしたつもりなのに相手には感情的に叱られたと受け取られていた、従業員同士のちょっとした揉め事に気づいていたものの様子を見ることにした――。
一つひとつは、それほど大きな問題には見えないかもしれません。
しかし、こうした小さなズレを放置すると、従業員の不満や不信感が少しずつ積み重なっていきます。
大切なのは、「トラブルが起きたらどうするか」だけではなく、「トラブルが起きにくい職場をどうつくるか」という視点です。
そして、そのために大掛かりな制度が必ず必要というわけではありません。
小さな会社だからこそできることも、たくさんあります。
このシリーズでは、今回ご紹介した3つの特徴について、北海道の中小企業や個人事業主の皆さまにも取り組みやすい方法を交えながら、順番にお伝えしていきます。
次回は、1つ目の特徴である「労働条件や職場のルールが曖昧」について考えてみたいと思います。

