~なぜ今、中小企業にも必要なのか~
「ハラスメント対策は大企業の話で、うちのような小さな会社には関係ない。」
そのように感じている経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、従業員数が少ない企業だからこそ、ハラスメント対策は重要になります。
北海道では、多くの中小企業や個人事業主が慢性的な人手不足という課題を抱えています。ようやく採用できた社員が、職場の人間関係に悩んで短期間で退職してしまうことは、会社にとって大きな損失です。
ハラスメントは、単に「誰かを傷つける行為」というだけではありません。職場全体の雰囲気を悪くし、生産性の低下や離職、さらには会社の信用低下につながる可能性もあります。
一方で、「安心して働ける職場」は、大きな強みになります。
近年では、求職者が会社を選ぶ際、給与や休日だけではなく、「職場の雰囲気」「人間関係」「働きやすさ」を重視する傾向が強くなっています。求人票だけでは伝わらない職場環境が、採用や定着を左右する時代になっているのです。
では、ハラスメントとはどのようなものでしょうか。
一般的には、職場での優越的な立場や人間関係などを背景として、相手に精神的・身体的な苦痛を与えたり、働きやすい環境を害したりする言動を指します。
もちろん、仕事を進める上では、注意や指導が必要な場面もあります。しかし、必要な業務上の指導とハラスメントは同じではありません。相手の人格を否定する言葉や、大勢の前で必要以上に叱責するような行為は、ハラスメントと判断される可能性があります。
また、小規模事業所では「昔からこうやってきた」「家族のような職場だから大丈夫」という考え方が残っていることもあります。しかし、その「当たり前」が、若い世代には負担になっていることも少なくありません。
例えば、休日にも仕事の連絡が頻繁に来る、飲み会への参加を当然のように求められる、プライベートについて必要以上に質問される、といったことも、人によっては大きなストレスになります。
だからこそ大切なのは、「問題が起きてから対応する」のではなく、「問題が起きにくい職場をつくる」という視点です。
ハラスメント対策は、決して経営者を縛るものではありません。従業員一人ひとりが安心して力を発揮できる環境を整えることで、結果として会社の成長につながる取組です。
職場の雰囲気は、一朝一夕で変わるものではありません。しかし、経営者が「お互いを尊重する職場をつくろう」という姿勢を示すだけでも、少しずつ良い変化が生まれます。
次回は、「経営者が知っておきたい代表的なハラスメント」について、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントをはじめ、中小企業でも知っておきたい事例を交えながら分かりやすくご紹介いたします。

