~特徴①「労働条件や職場のルールが曖昧」~
前回は、労務トラブルが起こる会社に共通する3つの特徴をご紹介しました。
今回は、その1つ目である「労働条件や職場のルールが曖昧」について考えてみたいと思います。
北海道の中小企業や個人事業主では、経営者と従業員の距離が近く、お互いの信頼関係を大切にしながら仕事をしている職場も多いと思います。
それ自体は、小さな会社ならではの大きな強みです。
しかし、その信頼関係があるからこそ、労働条件についても、
「給料は月20万円でお願いね」
「休みは基本的に土日だから」
「忙しいときは残業をお願いすることもあるよ」
といった口頭での説明だけで済ませてしまうことはないでしょうか。
最初はお互いに納得していても、半年、1年と働くうちに、「そんな話は聞いていない」「こういう意味だと思っていた」と認識がずれてしまうことがあります。
人の記憶は意外と曖昧なものです。
だからこそ、採用するときには、賃金、労働時間、休日などの労働条件をきちんと明示することが大切です。
労働条件を書面などで明確にしておくことは、従業員を信用していないから行うのではありません。
経営者と従業員の双方が「同じ条件を確認して働き始める」ために必要なことなのです。
そして、もう一つ気を付けたいのが、職場のルールです。
例えば、遅刻した場合はどうするのか、有給休暇を取得するときはどのような手続きをするのか、私物のスマートフォンは勤務中に使用してよいのか。
会社の中では、さまざまなルールが必要になります。
ところが、「今までみんなそうしてきたから」「普通は分かるだろう」と、暗黙のルールになっていることも少なくありません。
経営者にとっての「当たり前」が、従業員にとっても「当たり前」とは限りません。
さらに問題になるのは、人によって対応が変わってしまうことです。
「あの人には認めたのに、なぜ私はダメなのですか」となると、単なるルールの問題から、会社への不信感へと発展することがあります。
従業員数が少ない会社では、すべてについて細かな規程を作る必要はないかもしれません。
それでも、働くうえで大切なことについては、「決める」「伝える」「記録に残す」という3つを意識していただきたいと思います。
職場のルールを明確にすることは、従業員を細かく管理するためではありません。
経営者と従業員がお互いに安心して働くための「共通の約束」をつくることなのです。
「うちは人数が少ないから大丈夫」ではなく、人数が少ない会社だからこそ、一人とのトラブルが職場全体に与える影響は大きくなります。
まずは、現在使っている労働条件通知書や雇用契約書、就業規則などを一度見直してみてはいかがでしょうか。
「実際の働き方と内容が合っているだろうか」と確認することが、労務トラブルを防ぐ第一歩になります。
次回は、2つ目の特徴である「経営者と従業員のコミュニケーション不足」について考えてみたいと思います。

