~ハラスメントを防ぐ職場のコミュニケーション~
前回は、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなど、職場で知っておきたい代表的なハラスメントについてご紹介しました。
ハラスメントを防ぐためには、就業規則を整備したり研修を実施したりすることも大切ですが、それ以上に重要なのが、日頃のコミュニケーションです。
特に、北海道の中小企業や個人事業主では、経営者と従業員の距離が近い職場が多くあります。そのため、経営者の何気ない一言や普段の接し方が、職場の雰囲気に大きな影響を与えます。
例えば、従業員が失敗したとき、「何でこんなこともできないんだ」と感情的に叱るのではなく、「どこで困ったのか」「次はどうすればうまくいくか」を一緒に考える姿勢を持つだけでも、受け取る印象は大きく変わります。
また、普段から「ありがとう」「助かったよ」といった感謝の言葉を伝えることも大切です。
人は、自分の仕事を認めてもらえることで安心感を持ち、職場への信頼感も高まります。逆に、注意や指摘ばかりが続くと、「何をやっても評価されない」という気持ちになり、職場への不満につながることがあります。
さらに、従業員が相談しやすい雰囲気をつくることも重要です。
「何かあったらいつでも相談してください」と伝えるだけでは十分ではありません。普段から何気ない会話をしたり、体調や仕事の様子を気に掛けたりすることで、「この人になら話せそうだ」と感じてもらいやすくなります。
近年、「心理的安全性」という言葉を耳にする機会が増えました。
これは、自分の意見や疑問、失敗などを安心して話せる職場環境のことです。
「こんなことを言ったら怒られるかもしれない」「相談したら評価が下がるのではないか」と感じる職場では、小さな問題が表面化しないまま大きなトラブルへ発展してしまうことがあります。
一方で、普段から自由に意見を言い合える職場では、小さな違和感や困りごとも早い段階で共有されやすく、結果としてハラスメントの予防にもつながります。
もちろん、経営者も忙しく、毎日じっくり話をすることは難しいかもしれません。しかし、朝の「おはようございます」、帰るときの「今日もお疲れさまでした」、仕事が終わった後の「ありがとう」という一言の積み重ねが、職場の空気を少しずつ変えていきます。
働きやすい職場は、一日でできるものではありません。
しかし、経営者が相手を尊重する姿勢を示し、従業員同士もお互いを思いやるコミュニケーションを積み重ねることで、自然とハラスメントが起きにくい職場へと近づいていきます。
次回は、「相談しやすい職場をつくるには」をテーマに、万が一ハラスメントの相談があった場合の初期対応や、経営者が気を付けたいポイントについて分かりやすくご紹介します。

