~退職勧奨後に注意したい実務対応~
これまでの3回では、退職勧奨の基本的な考え方や、違法と判断されるケース、面談の進め方についてご紹介しました。
今回は、退職勧奨に従業員が納得し、退職することになった後の実務対応について解説します。
まず大切なのは、退職が決まったからといって、手続きを急がせないことです。
「では、今すぐ退職届を書いてください」と求めてしまうと、後になって「十分に考える時間がなかった」「強制された」と主張される可能性があります。
退職の意思が確認できたとしても、退職日や今後の流れを丁寧に説明し、本人が内容を理解・納得したうえで退職届を提出してもらうことが望ましいでしょう。
また、退職日までに残っている年次有給休暇の取扱いについても、事前によく話し合っておくことが重要です。
退職前に有給休暇を取得したいという希望があれば、業務の引継ぎとのバランスを考えながら、できる限り円満な形で調整することが大切です。
「もう辞める人だから有給休暇は認めない」という対応は、労働基準法上問題となる場合があります。
さらに、貸与しているパソコンや携帯電話、社員証、制服、鍵などの返却についても、事前に一覧表を作成し、退職日までのスケジュールを共有しておくと安心です。
会社側が返却を求めるものと、従業員が受け取る書類を整理しておくことで、退職当日に慌てることなく手続きを進めることができます。
そして、忘れてはならないのが離職票などの退職後の手続きです。
雇用保険の離職票や源泉徴収票などは、退職後の生活や再就職に必要となる大切な書類です。法令に基づき、できるだけ速やかに手続きを行いましょう。
退職する従業員にとっても、最後の会社の対応は強く印象に残ります。
最後まで誠実に対応することで、「いろいろな事情はあったけれど、きちんと対応してもらえた」という印象につながり、不要なトラブルを防ぐことにもなります。
退職勧奨は、退職が決まった時点で終わりではありません。
その後の事務手続きやコミュニケーションも含めて、円満な退職を目指すことが、企業にとっても従業員にとっても大切です。
次回はいよいよ最終回です。退職勧奨によるトラブルを未然に防ぐために、社会保険労務士へ相談するメリットや、専門家を活用するタイミングについてご紹介します。

