~特徴③「小さな問題をそのままにしている」~
前回は、労務トラブルが起こる会社の2つ目の特徴として、「経営者と従業員のコミュニケーション不足」についてお伝えしました。
今回は、3つ目の特徴である「小さな問題をそのままにしている」について考えてみたいと思います。
職場では、毎日のようにさまざまな出来事が起こります。
最近、遅刻が増えてきた。仕事上のミスが続いている。従業員同士が以前より話をしなくなった。会議で気になる発言があった――。
経営者として「ちょっと気になるな」と思っても、
「もう少し様子を見よう」
「本人もそのうち気付くだろう」
「注意して辞められても困るし……」
と、そのままにしてしまうことはないでしょうか。
もちろん、すべての出来事にすぐ厳しく対応する必要はありません。
しかし、小さな問題だからと何もしない状態が続くと、後になって大きな労務トラブルにつながることがあります。
例えば、ある従業員の遅刻を何度も黙認していると、周囲の従業員から「どうしてあの人だけ許されるのか」という不満が出てくるかもしれません。
従業員同士のちょっとした言い争いについても、「本人同士の問題だから」と放置しているうちに関係が悪化し、ハラスメントの相談や退職につながる可能性もあります。
大切なのは、問題が小さいうちに対応することです。
まず、「いつもと違うな」「少し気になるな」という変化に気付いたら、本人に声を掛けてみましょう。
「最近、遅刻が続いているけれど、何か事情がありますか?」
「仕事で困っていることはありませんか?」
いきなり叱ったり決めつけたりするのではなく、まず事情を確認することが大切です。
そのうえで、会社として改善してほしいことがあれば、曖昧にせず具体的に伝えます。
また、労務トラブルへの対応では「記録を残す」という視点も重要です。
いつ、どのような出来事があり、本人からどのような話を聞き、会社として何を伝えたのか。
簡単なメモでも構いません。
後になって「そんな話はしていない」「注意されたことはない」という認識の違いが生じたとき、記録があることで事実関係を整理しやすくなります。
特に従業員数の少ない会社では、一人の問題が職場全体の雰囲気に影響しやすいものです。
だからこそ、「小さい会社だから大げさにしたくない」と考えるのではなく、「小さい会社だからこそ、小さいうちに対応する」という考え方を持っていただきたいと思います。
問題への早めの対応は、従業員を責めたり処分したりするためのものではありません。
本人が抱えている事情を知り、必要な改善を促し、周囲の従業員も含めて安心して働ける環境を守るためのものです。
「気付く」「話を聞く」「必要なことを伝える」「記録する」。
この4つを意識するだけでも、問題が深刻な労務トラブルへ発展するリスクを減らすことにつながります。
次回はいよいよ最終回です。
これまでご紹介した3つの特徴を振り返りながら、「労務トラブルを防ぐために経営者が今日からできること」についてまとめたいと思います。

