第3回 労務管理研修で「知らなかった」をなくす~小さな会社ほど基本が大切~
「従業員が少ないから、労務管理はそれほど難しくない。」そう思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には会社の規模に関係なく、労働基準法をはじめとした労働関係法令は適用されます。そのため、「知らなかった」が思わぬトラブルにつながることも少なくありません。
例えば、「残業時間の考え方」「休憩時間の与え方」「年次有給休暇の管理」「雇用契約書の内容」など、日常業務の中には労務管理に関わる場面が数多くあります。経営者にとっては当たり前の運用でも、法律上は改善が必要なケースもありますし、従業員との認識の違いから誤解が生じることもあります。
近年は働き方改革関連法の施行などにより、企業に求められる労務管理の水準は以前より高くなっています。人手不足が続く北海道では、一人ひとりの従業員が安心して長く働ける環境を整えることが、企業の成長にも直結します。
そのために役立つのが、労務管理研修です。
労務管理研修というと、法律の条文を学ぶ難しい研修をイメージされるかもしれません。しかし、本来の目的は法律を暗記することではありません。職場で実際に起こり得る事例を通して、「どのように対応すればよいのか」を理解し、経営者と従業員が共通認識を持つことが重要です。
例えば、「忙しいから休憩を後回しにする」「善意で休日に少しだけ仕事をお願いする」「有給休暇を取得しにくい雰囲気がある」といったことは、小さな会社では起こりがちな場面です。しかし、それが積み重なることで、従業員の不満や離職、さらには労務トラブルへと発展する可能性があります。
私自身、北海道大学で約30年にわたり人事・労務業務に携わる中で、さまざまな労務相談や制度運用に関わってきました。その経験から感じるのは、多くの問題は「特別なケース」ではなく、日常のちょっとした認識の違いから始まるということです。だからこそ、日頃から正しい知識を共有しておくことが、トラブルの予防につながります。
また、労務管理研修は経営者だけが学べばよいものではありません。管理職やリーダー層はもちろん、一般の従業員も基本的なルールを理解することで、お互いを尊重しながら安心して働ける職場づくりにつながります。
会社の信頼は、日々の積み重ねによって築かれます。労務管理を「難しいもの」と考えるのではなく、「働きやすい職場をつくるための基本」と捉え、継続的に学ぶことが大切です。
次回は、いよいよ「社内研修を成功させる5つのポイント」をご紹介します。研修を単なる「受けるだけ」で終わらせず、実際に職場改善につなげるための工夫について解説します。
つるき社労士・行政書士事務所では、ハラスメント対策だけでなく、労務管理全般についても、中小企業・小規模事業者の実情に合わせた実践的な研修を行っています。「自社にはどのような研修が必要だろう」とお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

