~「人数が少ないから大丈夫」は危険です~
前回は、管理職向けハラスメント研修を実施した企業の事例をもとに、職場に生まれる変化についてご紹介しました。
「うちは従業員が10人程度だから、ハラスメントなんて起きないだろう。」
北海道の中小企業や個人事業主の方から、このようなお話を伺うことがあります。しかし実際には、従業員数が少ない会社だからこそ、ハラスメント対策が重要になる場面は少なくありません。
小規模な職場では、経営者や管理職と従業員との距離が近いことが大きな特徴です。日頃から気軽に話ができる環境は大きな強みですが、その一方で、人間関係のトラブルが起きた場合には職場全体へ影響が及びやすいという側面もあります。
例えば、管理職の何気ない一言で部下が委縮してしまったり、「相談しても変わらない」と感じて誰にも打ち明けられなかったりするケースもあります。人数が少ないため異動による配置転換が難しく、悩みを抱えたまま働き続けることになれば、心身の不調や離職につながる可能性もあります。
また、小規模企業では管理職が現場のプレーヤーを兼ねていることも珍しくありません。日々の業務に追われる中で、部下への指導や育成を経験や勘に頼ってしまうことがあります。
しかし、働き方や価値観が多様化している現在では、「昔はこれで問題なかった」という指導方法が、そのまま通用するとは限りません。だからこそ、管理職自身が時代に合ったマネジメントやコミュニケーションを学ぶことが重要です。
管理職向けハラスメント研修は、決して管理職を責めるためのものではありません。管理職が安心して部下を指導できるようにするための「学びの機会」です。
研修を通じて、適切な指導方法や相談を受ける際のポイント、部下との信頼関係を築くコミュニケーションを身につけることで、「何をどこまで伝えてよいのか分からない」という不安も軽減されます。
さらに、管理職の対応が変わることで、職場全体に「相談しやすい雰囲気」が生まれます。小さな悩みを早い段階で共有できるようになれば、大きな労務トラブルへ発展する前に対応することも可能になります。
ハラスメント対策は、企業を守るためだけの取り組みではありません。従業員が安心して働き、力を発揮できる職場をつくることが、結果として会社の成長につながります。
人数が少ない会社だからこそ、一人ひとりの存在はとても大きなものです。だからこそ、管理職の育成に取り組むことは、未来への大切な投資と言えるのではないでしょうか。
次回はいよいよ最終回です。「ハラスメントを防ぐ管理職育成の第一歩」をテーマに、研修を一度きりで終わらせず、継続的に職場づくりへつなげていくポイントについてご紹介します。

