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就活ハラスメント防止義務化 完全対応ガイド(その2)

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目次

【連載第2回】2025年法改正の全貌 企業に求められる義務とは

前回のおさらい

連載第1回では、就活ハラスメントとは何か、その実態と問題の本質について解説しました。インターンシップ中に約3割の学生がセクハラを経験しているという衝撃的なデータや、具体的な事例をご紹介しました。

第2回の今回は、2025年6月に成立した法改正の具体的な内容について詳しく解説します。企業に何が求められるのか、違反したらどうなるのか、実務に直結する重要情報をお届けします。

1.歴史的転換:「望ましい」から「義務」へ

これまでの状況

現行の男女雇用機会均等法では、就活ハラスメント防止措置は「望ましい取組み」とされていました。

つまり、やらなくても法律違反ではなかったのです。

多くの企業が「できればやった方がいいんだろうけど、まあ余裕があれば…」という程度の認識でした。

法改正で何が変わったのか

2025年6月11日、労働施策総合推進法等の一部を改正する法律が公布されました。

この法改正により、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置が、企業規模にかかわらずすべての企業の法的義務となります。

施行時期は、公布の日から1年6か月以内の政令で定める日とされており、遅くとも2026年末までには施行される見込みです。

なぜ今、法制化されたのか

背景には、就活ハラスメントの深刻化があります。

SNSでの被害報告の増加
Z世代の人権意識の高まり
「望ましい」だけでは企業が動かなかった現実

政府は、企業の自主的な取組みに任せていては学生を守れないと判断したのです。

2.企業に義務づけられる4つの措置

労働政策審議会の建議では、企業が講ずべき具体的な措置として、次の内容が示されています。

措置① 事業主の方針の明確化と周知・啓発

具体的な内容

・「当社は就活ハラスメントを許しません」という方針を明確にする
・採用ページ、会社説明会資料などで方針を周知する
・採用担当者、面接官、社員への教育・啓発を行う

実務のポイント

方針は作るだけでは不十分です。見える形にし、求職者にも社員にも伝わるように周知することが重要です。

会社説明会の冒頭で、当社はハラスメント防止に真剣に取り組んでいますと伝えるだけでも、学生に安心感を与えることができます。

措置② 相談窓口の設置と求職者への周知

具体的な内容

・求職者が相談できる窓口を設置する
・窓口の連絡先を採用ページや説明会資料などで明示する
・相談しやすい環境を整備する(外部窓口の活用など)

実務のポイント

社内の人事部が窓口ですと言われても、学生は相談しにくいものです。

社外の社労士や弁護士を窓口として設定する、業界団体の窓口を案内するなど、安心して相談できる体制づくりが重要になります。

措置③ OB・OG訪問等の接触機会におけるルール整備

具体的な内容

・OB・OG訪問、面接、インターンシップなどの接触機会についてルールを定める
・面談の場所、時間帯、人数などの基準を策定する
・ルールを社員に周知徹底する

実務のポイント

OB・OG訪問は企業の公式プロセス外になりやすく、管理が甘くなりがちです。しかし学生にとっては企業理解の重要な機会であり、ハラスメントが発生しやすい場面でもあります。

1対1での面談は避ける
夜間や飲酒を伴う場は禁止する

といった明確なルールを定めておくことが重要です。

措置④ 発生時の迅速かつ適切な対応

具体的な内容

・事実関係の迅速な調査
・被害者への配慮と謝罪、相談対応
・行為者への指導や処分
・再発防止策の実施

実務のポイント

うちの社員がそんなことをするはずがないと決めつけてはいけません。

まずは被害者の話を丁寧に聞き、事実関係を確認する。そのうえで誠実に対応する姿勢が、企業の信頼を守ります。

3.不利益取扱いの禁止 内部告発者を守る仕組み

協力した労働者を保護

改正法では、求職者からの相談対応に協力した労働者が事実を述べたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いを受けることは禁止されます。

なぜこの規定が必要なのか

学生の味方をしたせいで会社に迷惑がかかった、といった理由で協力者が処分されるようなことがあってはなりません。

内部告発や調査協力への萎縮を防ぎ、ハラスメントの隠蔽を防止するための重要な規定です。

4.違反したらどうなるのか 勧告と企業名公表

罰則はないが企業名公表のリスク

今回の改正法には刑事罰は設けられていません。

しかし、国の勧告に従わない場合には厚生労働大臣が企業名を公表できる仕組みになっています。

企業名公表のダメージは計り知れない

罰金がないなら大丈夫と考えるのは危険です。

企業名が公表されれば

採用活動への大きな影響
既存社員の士気低下や離職
取引先からの信用低下
SNSでの炎上リスク

といった深刻な影響が生じる可能性があります。

特に中小企業にとっては信用の低下は致命的です。

5.施行時期 いつまでに対応すればよいか

2026年末までに施行予定

施行時期は2025年6月11日の公布日から1年6か月以内とされています。

つまり遅くとも2026年12月11日までには施行されます。

まだ時間があるは危険な考え

実際に対応するには

就業規則の改定
相談窓口の選定や契約
ルール整備
社員研修の実施
採用ページへの反映

など多くの準備が必要です。

早めに着手することで、実効性のある対策が整備できます。

6.パワハラは今回の対象外か それでも対策は必要

セクハラのみが義務化

今回義務化されたのはセクシュアルハラスメントの防止措置です。

パワーハラスメントは対象外とされました。

それでもパワハラ対策が必要な理由

面接での人格否定
内定者への過大な要求

といった就活パワハラも現実に発生しています。

セクハラ対策とあわせて取り組むことで、より実効性の高いハラスメント防止体制を構築できます。

7.中小企業も例外なし 規模による猶予はない

大企業も中小企業も同時スタート

今回の就活ハラスメント防止措置には企業規模による猶予期間はありません。

すべての企業が対象

従業員1人の企業でも
年に1人しか採用しない企業でも
アルバイト採用のみの企業でも

採用活動を行うすべての企業が対象になります。

次回予告 第3回「中小企業が見落としがちなリスクと影響」

今回は2025年法改正の具体的な内容について解説しました。

次回の第3回では、中小企業ならではの視点から、見落としがちなリスクとハラスメント問題が企業に与える影響について詳しく解説します。

「うちは大丈夫」と思っている経営者の方こそ、ぜひご覧ください。

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