前回は、雇用契約書の「基本ポイント」を社労士・行政書士両方の視点からお伝えしました。今回は、北海道ならではの契約書の注意点についてお話しします。
季節雇用という働き方
北海道には、農業・漁業・観光業など「季節雇用」が多くあります。
例えば、スキー場や観光ホテルでは冬場だけ、農業では夏場だけ働く方も珍しくありません。こうした雇用は期間が限定されているため、契約書に開始日と終了日を明確に記載する必要があります。
また、繁忙期と閑散期で労働時間や休日の取り扱いが大きく変わる場合、その条件も事前に書いておくことでトラブルを防げます。
冬の交通事情も契約に反映
北海道の冬は、吹雪や大雪で通勤できない日があります。この場合、賃金を支払うのか、有休扱いにするのか、それとも欠勤扱いにするのか——雇用契約書や就業規則で決めておくと安心です。
私も実務で「朝から高速道路が通行止めになり、半分以上の従業員が来られない」というケースを経験しました。こういう時に取り決めがないと、現場は混乱します。
道内企業でよくある契約トラブル
実際にあった事例としては、
- 期間の定めがない契約なのに、繁忙期が終わったら突然「来なくていい」と言われた
- 就業場所が「道内各地」とだけ書かれていて、いきなり数百キロ離れた勤務地に異動を命じられた
といったものがあります。
こうしたケースでは、契約書に「勤務地の範囲」「異動の可能性」「契約期間の定義」を具体的に書いておくことが大切です。
次回(最終回予定)は、実務家が使っている雇用契約書の条文チェックリストをご紹介しながら、企業と従業員双方の安心・信頼を守るためのポイントをお話しします。