そのまま放置すると経営リスクが増大する労務トラブルの実情
労務トラブルを未然に防ぐことが重要であるとわかっていても、実際には「目の前の業務が忙しく、なかなか手をつけられない」「とりあえず従業員に我慢してもらっている」というケースが多いのが現実です。
しかし、このような「何とかなる」という姿勢が、かえって経営全体のリスクを高めてしまいます。
労務トラブルは、放置すればするほど事態が深刻化し、やがては従業員の大量離職や訴訟問題、さらには企業イメージの悪化にもつながりかねません。
モチベーションや生産性の低下
まず、労務トラブルの影響が直接的に現れるのが従業員のモチベーションや生産性の低下です。
職場でハラスメントが発生しているにもかかわらず、上司が「大きな問題にはならないだろう」と見過ごしている場合、その場の当事者だけでなく、他の従業員にも不安や不信感が広がります。
特に職場全体の人数が少ない中小企業では、少数の従業員が抱える問題が職場全体に悪影響を及ぼしやすく、「自分も同じ目に遭うかもしれない」と感じた従業員が次々と辞めていくケースも珍しくありません。
さらに、従業員が会社に対して信頼を失うと、モチベーションやエンゲージメントの低下が顕著になります。
離職率が高まると、優秀な人材が流出してしまうこともあり、結果的に業務の効率や質が低下し、企業の競争力が落ちることは避けられません。
新しい人材の採用や教育にかかる費用や時間も増加し、経営へのダメージは甚大です。
労務トラブルが訴訟に発展することも
また、労務トラブルが訴訟に発展する可能性も無視できません。
仮に就業規則の不備や労働条件に関する取り決めが原因で従業員が訴訟を起こした場合、企業は多額の賠償金を求められるリスクが生じます。
訴訟が発生すると、経営者や人事担当者の業務は大きく制限され、事案の解決に費やす労力や時間が増えます。
その結果、本業に専念できない状態が長く続き、企業全体の成長が停滞する可能性も高まります。
SNSなどで拡散するリスク
さらに、労務トラブルが外部に漏れ、SNSや口コミを通じて評判が広まるリスクもあります。
特に北海道内のような地域社会では、情報が広まるスピードが速いため、ひとたび悪評が立つと、地元の信頼回復には相当の労力が必要となります。
顧客や取引先からの信頼も損ない、事業そのものに支障が生じる恐れがあるのです。
このように、労務トラブルを見過ごすことで、一時的に目をつぶっている間にも経営リスクが蓄積していきます。
経営者としては、この段階で「問題の芽を摘む」ことが、トラブルを大きなリスクに発展させないための最も効果的な方法なのです。