ハラスメントは「特別な会社」だけの問題ではない
「うちの会社は小さいから大丈夫」
「みんな長い付き合いだし、そんな大げさなことは起きない」
北海道の中小・零細企業の経営者の方から、こうしたお話を伺うことがあります。
しかし実際には、ハラスメントは企業規模に関係なく発生します。むしろ従業員数が少ない企業ほど、人間関係が濃密である分、問題が表面化しにくく、気づいたときには深刻化しているケースも少なくありません。
特に近年は、パワハラ・セクハラだけでなく、マタハラ、カスハラ(カスタマーハラスメント)など、企業が配慮すべき範囲が広がっています。「昔は普通だった指導」が、現在では問題視されることもあります。
知らなかった、悪気はなかった、という理由は通用しない時代になっているのです。
「相談されてから」では遅いという現実
ハラスメントの問題が厄介なのは、経営者や管理職が気づきにくい点にあります。
被害を受けている従業員は、「波風を立てたくない」「小さな会社だから言いづらい」「我慢すればいい」と思い、なかなか声を上げません。そして、ある日突然、退職届という形で問題が表面化します。
さらに深刻な場合には、労働局への申告、内容証明郵便の送付、弁護士からの通知など、法的対応に発展することもあります。
そうなると、企業側は精神的・時間的・金銭的な負担を一気に背負うことになります。採用・育成にかけたコストも失われ、職場の雰囲気も悪化し、残った従業員のモチベーションにも影響が及びます。
「もっと早く対策しておけばよかった」という言葉を、私はこれまで何度も耳にしてきました。
経営リスクとしてのハラスメント問題
ハラスメントは、単なる人間関係の問題ではありません。
企業経営そのものに影響を及ぼすリスクです。
・人材の流出
・企業イメージの低下
・生産性の低下
・訴訟や行政指導の可能性
特に北海道の中小企業にとって、人材は何よりも貴重な経営資源です。一人の離職が経営に与える影響は決して小さくありません。
また、SNSの普及により、社内の問題が一気に外部へ広がる可能性もあります。採用活動においても、「職場環境」が企業選択の重要な基準になっている現在、ハラスメント対策の有無は、企業の将来を左右するといっても過言ではありません。
ハラスメント問題は、起きてから対処するものではなく、起きない仕組みをつくることが求められる時代に入っています。

