私は、約30年勤めた勤務先を退職し、社会保険労務士として開業したのですが、前職において、ハラスメント相談に関わる部署にも3年半ほど在籍し、それ以外の部署でもハラスメント案件に関わることがありました。
これらの経験を活かして、ハラスメントで悩む人を少しでも減らしたり、悩みを軽くすることができればと思っています。
ハラスメント防止のためのリーダーシップ
職場でのハラスメントを防ぐためには、管理職のリーダーシップが重要です。管理職は、ハラスメント防止において中心的な役割を果たし、従業員全体の意識を高めることが求められます。私が約30年にわたり前職で人事労務管理を担当してきた経験から、管理職が果たすべき役割について解説します。
まず、「ハラスメント防止の意識を高める」ことが必要です。管理職は、自らが率先してハラスメント防止に取り組む姿勢を示すことで、従業員全体の意識を高めます。具体的には、定期的な研修やセミナーを開催し、ハラスメントに対する知識と理解を深める機会を提供します。一般的に、管理職向けのハラスメント防止研修を実施した企業では、従業員の理解度が向上し、ハラスメントの発生率が低下する傾向が見られます。
次に、「従業員との信頼関係を築く」ことが重要です。管理職が従業員の声に耳を傾け、適切な対応をすることで、信頼関係が築かれます。定期的な面談やフィードバックを通じて、従業員の意見や悩みを共有し、問題があれば早期に対応する姿勢が求められます。
さらに、「ハラスメント防止のための体制を整える」ことも必要です。管理職は、相談窓口の設置や運用を推進し、従業員が安心して相談できる環境を整えます。相談窓口は、専門知識を持つ担当者が対応し、相談内容の厳守とプライバシー保護を徹底します。例えば、匿名での相談が可能なシステムを導入することで、従業員が安心して問題を報告できるようにします。
また、「ハラスメントポリシーの実行と監視」を行います。管理職は、ハラスメントポリシーに基づいた行動が従業員全体に浸透するように監視し、違反者に対して適切な対応を行います。これにより、従業員に対してポリシーの重要性を認識させることができます。例えば、ハラスメント行為が発覚した場合、迅速に調査を実施し、必要に応じて懲戒処分を行うことが重要です。
最後に、「継続的な改善を推進する」ことが重要です。管理職は、職場環境の評価を定期的に行い、問題点を洗い出して改善策を講じます。従業員からのフィードバックを基に、職場環境の改善を継続的に行うことで、健全な職場を維持します。例えば、年に一度、従業員アンケートを実施し、職場環境の評価を行い、必要な改善策を導入することで、従業員の満足度を高めることができます。
管理職のリーダーシップは、ハラスメント防止において重要な役割を果たします。全員が安心して働ける職場を実現するために、管理職としての責任を果たし、リーダーシップを発揮しましょう。私の経験が、皆様の職場の改善に役立てば幸いです。ハラスメントのない職場を目指して、共に努力していきましょう。