ハラスメント対策に就業規則を活用する際の注意点
前回は、実際に考えられるハラスメント事例を紹介し、就業規則による防止策の有効性について解説しました。今回は、企業が就業規則を活用してハラスメント対策を行う際によくある質問と、それに対する社会保険労務士としての対応ポイントをご紹介します。
【よくある質問1】「ハラスメント防止の規定を入れるだけで十分ですか?」
→答えは「いいえ」です。就業規則に禁止事項を盛り込むことは第一歩に過ぎません。大切なのは、実際に運用されることです。そのためには、従業員への周知、定期的な研修、相談体制の整備が不可欠です。北海道内の中小企業では、「規定を作っただけで終わっている」例が多く見受けられ、結果的にトラブルが拡大してしまうケースがあります。
【よくある質問2】「小規模事業所でも、ハラスメント防止規程は必要ですか?」
→必要です。むしろ規模が小さい企業ほど、職場内の人間関係の影響が大きく、トラブルが起きた際に逃げ場がない状況になりやすい傾向があります。たとえば、道南の小規模な製造業では、社長と従業員との距離が近いがゆえに、無意識の言動がハラスメントと捉えられることもあります。小規模だからこそ、「明文化されたルール」がトラブル防止のカギとなります。
【よくある質問3】「従業員からの相談にどう対応すればよいか分からない」
→就業規則には、相談の窓口や対応フロー(受付→調査→是正→フォローアップ)を明記することが重要です。担当者を事前に指定し、必要に応じて外部の専門家と連携する体制を構築しておくと、企業としての信頼性も高まります。北海道では都市部と地方で対応リソースに差があるため、社会保険労務士など外部専門家の活用が現実的な解決策になります。
【注意点まとめ】
- 就業規則を作るだけではなく、運用体制と教育をセットで整える
- 小規模企業でもルールの明文化は必要不可欠
- 相談・対応フローを整え、従業員の安心感を高める
就業規則は「使われて初めて意味がある」文書です。企業の規模や業種にかかわらず、北海道内のすべての事業所にとって、ハラスメント対策の第一歩は明確なルールづくりと、実効性のある仕組みの構築です。
次回は、こうした対策を講じることで得られるメリットや、北海道全域で共通して押さえておきたいポイントについてお話しします。

