北海道での具体的なケーススタディ
前回は、ハラスメント防止における就業規則の重要性について解説しました。今回は、社会保険労務士の視点から、北海道の中小企業において「実際に起こり得る職場のハラスメント事例」と、それに対してどのような就業規則の整備が有効かを見ていきましょう。
【ケース1:小規模な建設会社でのパワーハラスメント】
札幌市近郊の従業員15名の建設会社では、現場責任者であるベテラン社員が、若手従業員に対して日常的に叱責や威圧的な言動を繰り返していました。周囲の社員は「指導の一環」と見て見ぬふりをしていましたが、若手社員が精神的に疲弊し、最終的に退職。残された社員たちの間にも不安が広がりました。
このようなケースでは、就業規則において「パワーハラスメントの明確な定義」「指導とハラスメントの違い」「相談窓口の設置」などを明記することが効果的です。また、定期的なハラスメント研修の実施や、相談を受けた場合のフローも規定しておくことで、トラブルの早期発見・早期対応が可能になります。
【ケース2:サービス業におけるセクシャルハラスメント】
旭川市内の飲食チェーンでは、アルバイト女性スタッフが店長からの不適切な発言や身体的な接触に悩んでいました。相談窓口が設けられておらず、直接訴える場がないまま退職。後に労働局へ申し立てが行われ、企業側に是正勧告が出されました。
このような事案を未然に防ぐには、セクシャルハラスメントに関する禁止事項を明記するとともに、「従業員が安心して相談できる体制」の整備が不可欠です。さらに、アルバイトやパート従業員も対象となることを明示することで、企業全体でのハラスメント防止意識を高めることができます。
【社会保険労務士としての提案】
これらの架空ケースは、北海道内の中小企業で実際に起こりうる典型的な例です。社会保険労務士としては、就業規則の見直し時に、こうしたシチュエーションを想定したリスクアセスメントを行い、個別企業に合った文言や対策を提案します。
就業規則は単なる社内ルールではなく、従業員を守るための防波堤でもあります。特に、トラブルが表面化する前にしっかりと整備しておくことが、職場全体の健全な運営と企業リスクの最小化につながるのです。
次回は、ハラスメント防止規程を導入・運用する際に、経営者が注意すべきポイントや従業員との連携について詳しくご紹介します。

